週刊 読書日記 (2021/08/22~2021/08/28)

2021年8月22日から2021年8月28日までに発売されたKindle本の中から、特に気に入った作品の感想を書いて行きます。

warning_amber 感想によってはガッツリとネタバレが含まれているので未読の方はご注意ください warning_amber

望郷太郎 5巻

山田芳裕 (著)
「日本人」のルーツと人の「暮らし」の原点をたどり、「文明」の「落としどころ」を探し求め、「世界」の「神話」を明らかにする。目指すは自他ともに「快穏」の境地なり。『へうげもの』『仕掛暮らし』に続く山田芳裕の最新遠大野望作。週刊「モーニング」で年数回の集中連載続行中!!



大寒波襲来、壊滅的打撃、世界初期化。人工冬眠から五百年ぶりに目覚めた舞鶴太郎(まいづるたろう)は、愛する家族も財産も全て失った。絶望の淵から這い上がり、理想の暮らしと生きがいを求めて、祖国「日本」を目指す。ヒトと文明の歴史をさかのぼるグレートジャーニー。人類よ、これが未来だ!!

猛獣エンリルとの壮絶な戦いでミトを失い、パルの帰郷に従うこととなった太郎。凍える大地で叔父一家は生きていた。招かれざる客でありながら、村の存亡をかけた「大祭り」に巻き込まれる。未知なる原始の習俗が太郎の運命をもてあそぶ!!

西の村や中の村よりも発展している東の村へ贈与された太郎。農耕が行われ、人口も多いこの村では奴隷たちが重労働を通じ長一族に奉仕していた。虚しく使役される男たち。復讐を誓う若き女奴隷頭。人でありたい。人になりたい。彼らを救いたい太郎は、やがて力の源泉に気づく!!

生きんがための戦いを終え、太郎とパルはバイカル湖南端へ到達。ここは楽園と思った矢先、太郎は高熱に倒れた。薬を求めてパルは村へと出たが、「売買」を知らず囚われの身に。聖と俗が共存し、一見平和なヤープト村も、東の村同様、事実上の宗主国マリョウの苛政に苦しんでいた。人々の暮らしを救うため、太郎は「税」と「土地」で闘いを仕掛ける!!

ヤープト村自立のため、土地を買収し、独自の貨幣発行を目指す太郎。マリョウの兵団長は太郎に全面協力する村長を拉致。苛烈な暴力で絶対服従を誓わせるとともに、太郎の抹殺を宣言した!!
amazon.co.jp
ネタバレが含まれてるかもしれない感想はこちら

文明が崩壊した未来で太郎が通貨発行していく物語です。

太郎が新しい通貨を発行して村人達に配っても、「今の暮らしから変わりたくない」という理由から拒否されるのはなかなか興味深いです。
格安SIMという選択肢を知りつつも惰性で3大キャリアの高い料金プランを使い続けたり、キャッシュレス決済でポイント還元されるキャンペーンを知りながらも現金払いを続けたり…今までの生活を変えたくないという力は強いですよね。
僕も床屋とか歯医者とか、ちょっと不満があっても「わざわざ別の場所を探さなくてもなぁ」という気持ちで継続して通っています。
新たしい場所に行ってもっと大きな不満が生まれたらどうしよう、という不安があるんですよね。
こういった不安を解消するのが信頼なんですよね、信頼できる媒体から勧められれば新しい床屋にも行ってみたくなりますし。

太郎も通貨を配るときに村長を連れて行くことで村人からの信頼を得ていました。
村長もヤンチャな人で、屋根から太郎をダイブさせていましたが、流石にアレは助からないんじゃないでしょうか。


勇気あるものより散れ 1巻

相田裕 (著)
「GUNSLINGER GIRL」の相田裕、最新作!!明治、東京。幕末に死に損ねた武士・春安は、死に場所を求めて大久保利通の暗殺計画に手を出すが「不死」の力を持つ少女・シノに暗殺を阻まれる。ようやく死ねると思った春安だったが、シノは自らの「不死の母を殺し、自分も死ぬ」という宿願を果たす為に春安を助け眷属とする。しかし、母殺しを目指す中で明治政府、不死の兄弟たちが立ちふさがり…!?不死の少女が血を流し命を燃やす、明治浪漫譚!!
amazon.co.jp
ネタバレが含まれてるかもしれない感想はこちら

ガンスリンガーガール作者の相田裕先生(@aidayu02)による新作です。
不死性を持っているヒロインのシノが、同じく不死の母を救うために殺すために戦う、という重めなストーリーです。

死ぬことを望んでいる主人公の春安も不死となってしまいましたが、不死故の葛藤なんかも描かれるのか…と、思っていましたが読み返してみると不死の代償としてシノの血を飲む必要があるのですね。
そうなると、春安とシノの血を飲む為に行動を共にしないといけないという制限がどのようにストーリーに絡んでくるか楽しみです。

相田先生はヨーロッパの歴史や文化について深い造詣を持ってガンスリンガーガールを描かれていたので、今回も幕末や明治についての細かい描画については安心して期待しています。

P.88 で春安に「主に欲情するようなことはしない」と言われて少しムッとしているシノさんがカワイイですね。
どうしてもストーリーが重くなるので、こういう癒やしシーンは大切に見つけていきたいところです。
明治という時代柄か袴+ブーツというシノのファッションもいいですね。ぜひリアルでも見てみたいものです。


ドラゴンズサマー~クロとわたしの夏休み~ 1巻

やまむらはじめ (著)
山と緑ときれいな湖に囲まれた自然あふれる父親の田舎にひと夏の帰省でやってきた都会の少女いさな。父の運転する車で行く道すがら、過疎が進んでいることを実感しつつ今は亡き祖父たちが暮らした家に向かっていたその途中怪異に襲われ!?いさなが田舎で出会った不思議な少年クロと繰り広げるひと夏の大冒険!
amazon.co.jp
ネタバレが含まれてるかもしれない感想はこちら

田舎に帰省中の女の子いさなと、黒龍神クロのボーイミーツガールです。
絵柄があっさりしていて好みだったので購入したのですが、神様ドォルズ の作者さんだったのですね。

クロさん強そうだったのにあっけなく下っ端に倒されちゃったので、ここからどうやって禍神と渡り合っていくのか楽しみです。
こういう物語だと親に隠れて話が進んでいくことが多いので、父親が事情を説明するのは珍しい気がしますね。物語にどう絡んでくるか楽しみです。


10年間友達だと思ってた男の子に告白されるお話 1巻

〇線(まるせん) (著)
小さい頃から仲良しな男の子、倫太郎。
デカくて、いかつくて、そしてモテる。
また女の子フッちゃって……勿体ない!

『いや オレはお前が好きだからな』

…え? は!? 初耳なんですけど!!!
ななななんで私なんか――

悔しい…!!!
まさか倫太郎が告白してくるなんて。
負けた気がして悔しい。
こうなったら倫太郎が私の彼氏にふさわしいか
確かめてやる!!

一途でピュアピュアな高校生ラブ、開幕です!!
amazon.co.jp
ネタバレが含まれてるかもしれない感想はこちら

友達以上恋人未満の関係を描く作品かと思ったら、いい意味でそんなことなかった。

最近の高校生は「見抜きさせてください」って許可を取るのかぁ、勉強になります。極端に一途な倫太郎にも友人ができたので、ここからどのように物語が進んでいくのか楽しみです。

特に P.112 のサイレントで表現されてるシーンが好きでした。